こどもの難聴について

一般社団法人日本耳鼻咽喉科学会 「新生児聴覚スクリーニングマニュアル」表紙より

両側難聴は、およそ1 , 0 00 人の赤ちゃんに対して1人の割合で見つかり、先天性難聴と言われます。先天異常症の中でも比較的頻度の高い疾患です。最近では、新生児聴覚スクリーニングにより難聴が発見される新生児が増加しています。
現在、岩手県の分娩を取り扱う全ての施設で、新生児聴覚スクリーニングの実施が可能です。また、母子健康手帳には新生児聴覚検査の結果を記載する欄があります
しかし、新生児聴覚スクリーニングを受けていないお子さんの聞こえの確認や、新生児期以降に生じた難聴の発見のためには、今後も聞こえを確認することが必要です。
乳幼児は、難聴があると話す人の表情や身振り周囲の状況を見て行動する傾向があります。また片耳の難聴や軽度の難聴の場合には、保護者をはじめお子さんにかかわる周囲の人にわかりにくい障害といえます。お子さんの難聴に気づかず 聞こえにくい状態が続くと 、言語力や情緒面などの発達に影響し、コミュニケーションの発達が抑制されます。また、精神障害や発達障害等との鑑別も重要となるでしょう。
難聴を見逃さない為には、積極的に難聴の存在を疑い、精密検査をおこなうことが重要です。
日常生活での行動観察を評価することによって、難聴の存在とその程度を検証することができます。その詳細は(表1)田中らの聴覚発達質問紙<乳児の聴覚発達チェック項目>に見ることができますが、いくつか抜粋してみました。
・突然の音にビクッと反応する。
・眠っていて突然の音に目を覚ます。
・4ヶ月ころ、日常の色々な音(玩具、楽器の音、テレビの音、戸の開閉など)に対し関心を示す(振り向く)。
・8ヶ月ころ、耳元に小さな音(時計のコチコチ音など)を近づけると振り向く。
・10か月ころ「ママ」「マンマ」「ネンネ」など人の言葉を真似る。
・12か月以上 簡単な言葉による言いつけや、要求に応じて行動する。

参考:一般社団法人日本耳鼻咽喉科学会
「新生児聴覚スクリーニングマニュアル」より
JOHNS Vol.23 No.9 2007 p.1254 から
田中らの聴覚発達質問紙<乳児の聴覚発達チェック項目>
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